あちこちGoogleでさまよいながらラグランジュ点を計算します。
ほぼ月軌道上とみなせるL3~L5はともかく、L1とL2は計算しないと居所がつかめないので。
三体問題
三体問題というのは、万有引力を持つ3つの質点が互いにどういう運動をするかという物理学だか数学だかの上での問題で、これは惑星系だとかの挙動に適用することができます。
三体問題の中でも特に制限三体問題というのがあります。これは3質点のうち1つについて、その万有引力を無視できるしたものです。
さらに残りの2質点について、それぞれ完全な円軌道を想定するものを円制限三体問題といいます。
今回とりあげるのは、この円制限三体問題となります。
ラグランジュの特殊解
その昔円制限三体問題について、5つの特別な解があることを発見したのがラグランジュという、数学者であり天文学者でもある人です。
5つの解のうちL1、L2、L3は2質点を結ぶ一直線上に存在します。これをラグランジュの直線解といいます。
残りのL4、L5は2質点を2頂点とする正三角形(上下に一個ずつできます)の残り1頂点に存在します。これをラグランジュの正三角形解といいます。
実は円制限三体問題の特殊解はほかにも見つかっていて、8の字解といったりするそうですが、コロニーとはあんまり関係ないので割愛します。
いきなり求める
NASAのページ(PDF文書なのでいきなりAcrobat Readerが起動します。注意!)でズバリの公式を発見したので、そのまま数値を突っ込んで求めます。式の途中経過については、もっと学習が深まることがあったら追記したいと思いますが、神秦の頭が悪いので望み薄です。
地球の中心から月中心までの距離 R = 384,401km
地球の質量 M1 = 5.972×1024kg
月の質量 M2 = 7.347×1022kg
地球と月の質量比 α = M2/M1
とおいて、地球の中心を原点、月の方向をX軸に設定した場合のL1、L2、L3それぞれの座標は、
L1 = (R[1 - (α/3)1/3], 0)
= (322872.806, 0)
L2 = (R[1 + (α/3)1/3], 0)
= (445929.194, 0)
L3 = (-R[1 + (5/12)α], 0)
= (-386371.441, 0)
となります。ちなみにL4とL5の座標は、
L4 = (R/2((M1 - M2)/(M1 + M2)), R(SQRT(3)/2))
= (187528.913, 332901.031)
L5 = (R/2((M1 - M2)/(M1 + M2)), -R(SQRT(3)/2))
= (187528.913, -332901.031)
三平方の定理によって残りの1辺を求めると、それぞれ382086.626kmになるので、これが地球の中心からL4、L5までの直線距離となります。
以上終わり。
(初出 : Weblog 2004/08/23 / 数値修正の他加筆 : 2004/12/19 / ブログ掲載にあたって一部表現修正)